対峙

思い出して、居たたまれなくなる。言い訳ばかり駆け巡りそうになる。
そんなときは、背筋を伸ばして、前を見つめる。
浮かぶのはあの人の横顔。何かを見据えている横顔。


自分の心がつくり出した靄に、声に、惑わされない。世界はもっとシンプルに見れる。


でもまだほんの少し自信が無くて、ここは閉じたままでいる。
「自分を受け入れてくれる自信が無いんだ」
「受け入れられなくても、自分が消えてなくなるわけじゃない」
「そう思えたとしても、やっぱり好かれて欲しい。それと存在とは別でしょう。」
「本質的に人は独りだ。でもそれは孤独でもなんでもなくて、その前提のもとに、好きという感情は成立するとは考えられないかな。結果的に、独りではない。」
「論理的に考えることができても、何か足りないんだよ。」
「もちろん、今までの話は、あるベースの上で成り立ってる。それが世界に対する信頼ってやつじゃないの。だから、捨て身になれるんだろ。」


「世界に対する信頼」
それが無いとしても、私は決して責められているわけじゃない。
「あなたがそう思うのは、結局あなたが私を信じていないからでしょう?」
そんなこと誰も言っていない。


目を凝らして、シンプルに、シンプルに、見るんだ。
その後に、実在する、複雑で煩わしい、素晴らしい感情を味わうために。